火曜日:ベンダーショウ
今朝は8時半からマススペックの講習会があった。遅れそうになったので痛い足をかばいながら杖ついて遠くにある駐車場から早く歩いてなんとか間に合った。本当にパラリンピックに出場できるほどの早さで頑張って歩いたつもり。まあそれはともかくあんまりにもひどい講習だったから9時半には出てきた。
まあはっきり言って朝からなんだか出鼻をくじかれた感じだった。なんか成果が出ないと気分悪いのでコンピューターに向かってCRISPR/Casのガイドのデザインとかやった。2つの遺伝子分をやったら眠くなってきて培養室の方でクローンを拾ったり。
今日は昼頃にベンダーショウがあった。ベンダーショウというのは大学に入ってるいわゆる業者がサンプル商品を並べたりカタログを並べたりしてなんか実験器具とか買わそうというちっこい展示会みたいなもの。
客寄せにピザとか安っぽいサンドウィッチとか並べて置いてある。それでサンプルのチューブとかくれたりする。他にもいろんな子供騙しのものもあるけど無難なところはボールペン。
はっきり言ってもうタダでなんかくれると言っても喜んで行く年でもなくなった。それで大学院生のアンジェラにお前行くんならボールペンひとつもらってこいと言って取ってきてくれたのがこのオレンジ色のペン。VWRという流通会社はなんだかあんまり質の良いものを扱ってないけど研究室のあちこちで見るものにこのロゴが書いてある。
まあそんなことはいいけど、実はこのペン、水性インクでかきごごちが気持ちい。アンジェラに感謝。
月曜日
アメリカの大学は5月というと卒業式の月。
うちの大学も10日前の5日が卒業式だった。研究室からは一人PhDで卒業した学生がいたけど彼は生まれたばかりの子供が病気で大手術そしたので自分の卒業式の日はそれどころではなかった。
もう一人の卒業生は僕が一年間面倒見た学部生だった。濃度計算ができないところから初めてたけど二学期の間に10個以上新しいプラズミッドを作ってそれについてポスター発表を二回した。
そしてその彼女は今日からみんなと一緒に今度は学生としてじゃなくって研究室で7月末までフルタイムで働くことになった。
「学生じゃなくってプロの科学者として働くのって好きか?」って聞いたら、間髪をいれず ”No." と言われてしまった。
まあなんでもいいけど、おれはちょっと誇りに思ってる。
木曜日
かなり久しぶりに書き込み。
3月の終わりにニューヨークに遊びに行って帰ってきてからすぐ足をけが(かなり大怪我)してそれ以来家に帰ると横にならないとやっていけない状態が1ヶ月続いてた。今週になってやっと帰ってきて家でなんかしようという気分が出るようになった。まだ杖をつかないと外を歩けない。
実験の方は3月4月とかなり落ち込んでたけど3月から計画して作ったDNAを寄生虫に入れたら薬に対する耐性と緑色に光る2つの蛋白質がちゃんとできて今日顕微鏡で見たらボソッと緑色に光った寄生虫が見えた。
顕微鏡の光源を変えるときはやっぱりドキドキドキドキドキドキ。うっすらボソって緑色の塊が見えたときは「嬉しい」より「安心」だった。
即、学科長のボスにテキストメッセージ送って見に来るかって聞いたら、今から行くって、下の学科長事務室から上がってきた。別に嬉しそうな素振りはしなかったけど、たしかに緑になってるなと言った。
そこでもっと高精度の顕微鏡で観ることにしてあしたの1時半に一緒に顕微鏡の部屋に行くことにした。
もう一つやってる変異株の遺伝子の分析は一通り片がついたのでフリーザーストックもきめてこの遺伝子はこれで一応おしまい。あと2つPCRで確認するけど結果的には代わりはないはず。
家に帰って論文一つ読んで今日はおしまい。緑色のお祝いにジムビームで乾杯します。